黒部の鬼

こんばんは。とんぼです
古い雑誌を見ていたら印象深い物語りがあったので、かい摘まんで、一部は引用しながら紹介します。

新聞の片隅に載った小さな訃報を伝える記事!一人の山小屋管理人にすぎない男の死としては大きな扱いだった。
そして黒部に入ったことのある者なら誰もが知る男だった・・・
誰よりも重い荷物を担いで誰よりも速く歩き冬は鉄砲を持って誰よりもケモノを狩り夏は釣竿一本で誰よりも岩魚を釣った
誰よりも黒部の山と川を知りつくしたその男を人々は敬意を込めてこう呼んだ・・・

“鬼“

“黒部の鬼“と

大学生の二人組が夏休みを利用し、北アルプスの誰も踏み込まない源流を釣り歩いていた。
沢の中をズブ濡れになりながら時には泳ぎ、時にはザイル一本を頼りに岩壁をよじ登る。
飯ごうメシを炊き釣った岩魚をおかずに夕食を食べ、薄いシーツにくるまって寝る。
狭い源流ではどちらが先に竿を振るかをじゃんけんで決める。
たわいもなく釣りを楽しむ二人に向けて、どこからか石がとんできた!
『こっから先にゃはいるなッ!入ったらくらすぞ!!』

そして、また石が・・・

山小屋に戻った学生は地元人の話しを聞き、向こうは商売で岩魚を捕ってる事を知るが、商売とはいえ、川は誰のものでも無い!と主張するも誰もが鬼と呼ぶ男にそんな理屈が通じる訳がないと諦める。結局二人の学生は別の沢に移り、それなりの釣りを楽しんでその夏を終えた。

人里を下界と呼ぶ黒部の自然の中で商売で釣りをやる男、“黒部の鬼“の事は楽しい思い出の中に突き刺さったトゲのように学生の心に引っ掛かっていた。

次の年の夏!最初の源流行を終え宿泊した民宿で同行した友人の父が倒れたと連絡が入り、一人は帰省することに。
去年の夏だけでも充分危ない目に遭った。お互い相手がいて助かったと思う場面が何度もあった
当然一人で初めての沢に入る勇気はなく、去年入った沢の中で比較的に安全そうな沢をえらんだ。
そこは去年鬼と会った沢だった。
学生はどれだけ竿を振込んでも岩魚が釣れず、魚影すら見えない状況が三日も続いたある日!
明らかに人が踏み込んだ跡を見つける。源流の場合、先行者がいたらその後は釣りにならない・・・そんなとき学生は毛針を拾う。
市販のものとは全く違う、粗雑で荒々しく、しかし頑丈で20尾でも30尾でも釣ってやるッ!って面構えの毛針だった。
『あいつだッ!』
学生は無性に腹が立ち鬼を追い抜き先に全部釣ってやると意気込んでひたすら川をさかのぼった。

学生は鬼を見つけた!
鬼が竿を振る、軽やかに毛針が舞い水面にふれる、次の瞬間岩魚が食いつき、軽々と抜き上げられた!釣り上げた岩魚をビクに入れる時にはすでに竿を振っていた。
その体が岩影に隠れて、思ったより早く鬼が移動している事に気付いた。
慌てた学生は足を滑らせ沢に落ちそうになるもリュックの紐が岩角に引っ掛かり中釣りになった
身動きがとれない学生は沢に飛び込む覚悟を決めた瞬間!声が聞こえた

『泳ぐかよ?まだ冷てえぞ』

次の瞬間鬼は軽々と学生を抜き上げた。
鬼と知り合ってみると、鬼は全然鬼ではなかった

鬼は時々学生を見ていた! 危なっかしくも普通の人は入れない沢によく入って来た、たいしたものだと褒める。
鬼は人に入られると釣れなくなるから先に行くようにしていたがちゃんと学生が釣る分を残していた
学生はいつかの疑問を問う『去年、石を投げたのは?』

鬼が答える『おまえ落ちたろ、去年のおまえらなら二人とも落ちとる・・・』

残りの夏、学生は鬼とともに過ごした。
沢での鬼の動きは慎重だが竿を振る時はうって変わって無造作な竿裁き、掛かった岩魚を暴れないうちに一気に抜き上げる!ある程度釣るとワタを抜き水にさらした。
鬼はたくさんの岩魚を燻製に加工し、下界まで売りに行く。それを2、3回繰り返す頃黒部の夏は終わった。
次の年の夏も学生は鬼と過ごしたが、さらにその次の年は友人とともに別の沢で釣りをしていた・・・
そして、年とともに北アルプスからも足が遠のき、また鬼と再開するまでに20年が過ぎていた。

鬼は小さな山小屋の管理人をしていた

その頃は一日やっても岩魚は30尾も釣れなくなり商売にならなくなったと鬼は言う。
今じゃ鬼もたまに遊びでやるくらいになったらしい。

翌日、元学生と鬼は二人で“遊び“にでた

だが、川に近づく“鬼“はやはりかつての鬼だった 獲物に近づくケモノのように静かに慎重に、そして無造作に竿を振る。
だが、それは自身と竿をそして川と魚を知り尽くした者だけに許される無造作さだッ!

毛針は重さなどないかのように空を舞い
静かに水面に触れる

かつての黒部のようにその瞬間に水面が盛り上がることはない

スレて警戒心の強くなった岩魚は簡単には飛び出してこない
だが、鬼の腕がかすかに震え

毛針が意思をもった生き物となる

その動きが岩魚の警戒心を超え本能を呼び起こす



鬼は抜き上げなかった・・・



ゆったり竿をたわめたまま

まるで岩魚との会話を楽しむかのように


いつまでも・・・

いつまでも・・・



そして 黒部から 鬼は 去った・・・




  

はやッ!



おはようございます。とんぼです

新幹線のホームで目の前を突っ走る新幹線!


ドゥンッ


って迫力がたまらなぃ(´Д`;)スキカモ


しかし、あのスピードで走る新幹線の中に人が居るって思うとなんかスゲーって思いません?

ってか!そんな事言ったら飛行機はもっと凄いけど( ̄▽ ̄)

ってか!新幹線のあのスピードで走る中トイレに入ったりするけど!え~っと今新幹線って何キロかな?280キロとか?

ま~、ちょっとわからないけど、そのスピードでトイレするって考えるとこれまたスゲーΣ( ̄□ ̄;

って考える私は変わり者でしょうか?

朝からへんてこな妄想をしてまいました(^^ゞ


さぁ、みなさんも280キロでオシ○コしましょ~







朝からごめんなさいm(_ _)m